Q8
合成成分よりも、天然成分のほうが安全なのですか?

A
全ての天然成分が安全というわけではありませんし、全ての合成成分が肌によくないわけでもありません。
かぶれの原因になる「うるし」や「ヘナ」、また「そば」や「麦」「花粉」などのように重いアレルギーを引き起こす天然成分は沢山ありますから、天然が全て肌にやさしいと言えないことがお判りいただけるかと思います。
天然成分には肌に良い成分を含んだものが多いのですが、同時に光毒性成分を含むものも多いのです。柑橘類がその代表例で、レモンやきゅうりのスライスでのパックは大変危険なお手入れになります。アロエ、ラベンダー、ペパーミント、ティートゥリー、アロエ、プロポリス、クロレラも人によってはアレルギーを起こします。
また、先に述べた、イメージだけで悪者扱いされがちな鉱物油も、石油は元をたどれば地球が生んだ天然資源の最たるものなのですから、天然・自然が一番!という流れからは最も貴重で歴史の深い天然成分ともいえます。それなのに悪いイメージを持たれているのが、大きな矛盾であることがお判りいただけるかと思います。
同じく、合成成分にも危険なものはありますが、多くの天然成分の組成がいまだ明確では無いのに対して、合成成分の組成は明確です。つまり、合成成分が精製技術により「肌に望ましくない成分を除去する」という点において安全性と品質が安定しているともいえます。
また、ワインやチーズなどをご想像いただければわかるように、天然原料は供給量や品質も栽培時期・天候などの自然条件に大きく左右されますが、合成成分は安定して供給ができるともいえます。
しかし、例えばかぐわしいローズの香りのように、複雑な天然成分の組成による微妙な香りたちや美容効果を全て、化学技術でもって合成成分で置き換えられるかというと、それはいまだに不可能なのです。
天然・植物原料で作られた化粧品は肌に良い、合成原料や鉱物油を含んだ化粧品は肌に悪い、というイメージがありますが、化粧品の成分は天然・合成を問わず、全てにおいて厳しい安全性の確認が行われています。安全性に、天然・合成の差はありません。メーカーは、常に効果と安全性を第一に日々開発に取り組んでいます。
「化学合成成分が悪い。自然天然成分が一番良い」で済ませるのは「私は化粧品原料と科学と皮膚の基礎知識がありません」と自ら言っているのと同じことです。
「安全性」は、「化粧品を作り上げている全成分」で決まります。
スキンケアはサイエンスです。
化粧品の本質は、美しい肌作りのために厳しい基準に基づいて選ばれた原料と成分、その効果的な配合を研究し尽くし、かつ優れた感性を持った開発者による処方にあるのです。そして、それらを経て、「名品」とよばれる数々が誕生しているのです。
美味しい料理を作るには、新鮮で良い材料をそろえること、そして何よりも料理人の腕と感性が大切です。それがあなたのお口に合えば、最高のひと時ですよね。 化粧品も同じことなのです。どうぞ成分にこだわりすぎず、客観的な知識と大きな視点で安心してお使いください。